看護師の人手不足が叫ばれてから久しく、様々な人材確保の方法が模索されている。看護師資格を持つ人の中には、出産を契機として離職し、その後復職の意志を持ちながらもその機会がなく、医療に関わらずに過ごしている潜在看護師は少なくない。

こうした有用な人材を発掘し、現場復帰させることが看護業界の急務だと言えよう。そこで、巷では再教育支援や再就業支援などの試みが積極的に行われている。しかし実際のところ、再就業の場を探すことは容易ではない。というのも、子育て中の潜在看護師のほとんどは、原則として日勤でしか働けないのである。

多くの病棟では、夜勤にも従事できる看護師を募集しており、日勤だけという勤務形態の仕事を探すことが難しいのだ。そこで日本看護協会は、短時間労働や日勤だけの勤務形態を認める方式を進めるよう、医療機関に促してきた。しかし、日勤だけの看護師採用が増えれば、当然その分夜勤を勤められる看護師の数が減ってしまう。日勤だけの看護師を雇うならば、夜勤専門の看護師も必要となるのである。

そんな中、出てきたのが夜勤のみを専門とする夜勤専従だ。高額の夜勤手当を受給できるため、体力のある若手看護師の一部に人気がある。
週4日夜勤をこなせば、十分生活できる月給になると言われている。とはいっても、日勤を希望する潜在看護師たちをカバーできるほど、夜勤専従看護師の数は多くない。夜勤専従看護師の多くは非常勤で、社会保険や年金などの保証がなく身分も不安定であるところが関係しているだろう。

夜勤専従の人数を増やすためには、正規職員として雇用するなどして夜勤専従看護師の待遇を改善し、インセンティブを高める必要がある。夜勤専従看護師が拡充されれば、日勤だけの看護師を雇うゆとりもでき、潜在看護師の解消につながるだろう。